突発やプレイ日記を書き逃げする雑記帳。
未完結品多し。
ネタバレ満載警報発令中~。
最新記事
カテゴリー
ブログ内検索
最新トラックバック
アクセス解析
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
ちなみに、最後の噂も会長情報らしいですよ?
退院の翌日、朝のHR前のF組教室。
転入の数日後に一週間も入院したというのに、クラスメイトの対応は案外と静穏だった。
しかし、時折感じる視線には何処か生暖かいものが混じっている。
基本他人に無関心な凍夜も、この雰囲気では落ち着かない。
視線だけで周囲を見渡すと、音楽を聴いている風を装いながら、前の席に座るゆかりに声を掛けた。
「ねえ、岳羽。なんか空気が変なんだけどさ、君、何か知らない?」
「……別に何も? それより、体の方はもう大丈夫なの?」
素知らぬ顔をしているものの、凍夜と目を合わせようとしない。
何か隠している。
そこまでは態度から憶測できるが、肝心の内容までは窺い知れない。
「まあ、別に怪我したわけでもないしね」
「そう。先週分のノートは、今日帰ってからでいいよね。コピー、まだ取れてないから」
凍夜は、おもむろにメールを打ち始めたゆかりを半眼で見つめ、背もたれに寄りかかった。
(ど、どうしよう……)
冷ややかな瞳に捕捉され、ゆかりは内心ビクついていた。
クラスメイトであり寮生でもあるゆかりは、当然ながら事の真相を知っている。
凍夜の入院の真相も、皆の態度の理由についても。
しかし……。
(言えない。ていうか、言いたくないっ。先生、早く来て……っ!!)
緊張に微かに震える手で携帯メールを打ち続けながら、ゆかりは担任の登場を心から待ち望んだ。
「はよーっす」
鳥海教諭が登場すべき扉から現れたのは、遅刻ギリギリで飛びこんできた伊織。
彼は室内の空気もお構いなしに、通り道のダチに声を掛けつつ自分の席――凍夜の右隣へとやってきた。
伊織は自分の机に荷物を投げると、凍夜の傍へ椅子を寄せた。
「やぁっと来たのか。ゆかりッチも病院教えてくれねーしマジ心配しちったぜぇ。で? もう腹はヘーキなん?」
「……腹?」
(あ……っのバカッ)
朝から無駄にテンション高い伊織に、怪訝な顔を向ける凍夜。
ゆかりは先の展開に色を無くし、慌てて前へ向き直った。
本当なら逃げ出してしまいたい。何故なら、詳しい説明を求められるのは彼女に決まっているのだから。
しかし……学校まで来ておきながら遅刻や欠席を付けられるのは、彼女の理性が許さない。
いっそ天変地異でも起きないかと祈る彼女の背後で、伊織は笑いを含んだ声音で先を続けた。
「ごまかそうったってそーはいかねーからな。部屋の冷蔵庫に残ってた、前の住人の置きみやげ食って腹コワしたんだって?」
「……」
「バッカだなー、卒業から始業までかなり開いてんじゃん。んなもん食ったら食中毒くらい起こすっての」
「…………ふぅん」
背中に刺さる氷の槍が、痛いどころか心臓に突き刺さってグリグリ抉る。
空気を読まない伊織の話が未だとうとうと続いていたが、凍夜の視線はゆかりの背中を捕らえて離さない。
「わ……私じゃないからね、ソレ言ったの。桐条先輩だから。だ、だからっ」
「ふぅん」
抜けない。
槍が。
「だ、から…………」
「ふぅん」
(こ、コワイ~~~~っ)
伊織の雑音も無視し同じ相づちだけを繰り返す彼は、まるで永遠に溶けない氷のよう。
名前の如く。
「……先に言わなくてゴメンナサイ」
「ま、過ぎた事だけどね」
……抜けた。
凍夜の視線が外れた瞬間、ゆかりはぐったりと机の上に倒れ伏した。
(桐条、許すまじ……)
あっさりと機嫌を直したらしい凍夜と伊織の声を聴きながら、ゆかりは“桐条”への想いを更に深めた。
黒いオーラに包まれるゆかりの後ろで伊織の雑談は続いている。
「そういや知ってっか? ボクシング部の真田先輩、ロードワーク中にバナナの皮で滑って肋骨折ったんだってさ」
退院の翌日、朝のHR前のF組教室。
転入の数日後に一週間も入院したというのに、クラスメイトの対応は案外と静穏だった。
しかし、時折感じる視線には何処か生暖かいものが混じっている。
基本他人に無関心な凍夜も、この雰囲気では落ち着かない。
視線だけで周囲を見渡すと、音楽を聴いている風を装いながら、前の席に座るゆかりに声を掛けた。
「ねえ、岳羽。なんか空気が変なんだけどさ、君、何か知らない?」
「……別に何も? それより、体の方はもう大丈夫なの?」
素知らぬ顔をしているものの、凍夜と目を合わせようとしない。
何か隠している。
そこまでは態度から憶測できるが、肝心の内容までは窺い知れない。
「まあ、別に怪我したわけでもないしね」
「そう。先週分のノートは、今日帰ってからでいいよね。コピー、まだ取れてないから」
凍夜は、おもむろにメールを打ち始めたゆかりを半眼で見つめ、背もたれに寄りかかった。
(ど、どうしよう……)
冷ややかな瞳に捕捉され、ゆかりは内心ビクついていた。
クラスメイトであり寮生でもあるゆかりは、当然ながら事の真相を知っている。
凍夜の入院の真相も、皆の態度の理由についても。
しかし……。
(言えない。ていうか、言いたくないっ。先生、早く来て……っ!!)
緊張に微かに震える手で携帯メールを打ち続けながら、ゆかりは担任の登場を心から待ち望んだ。
「はよーっす」
鳥海教諭が登場すべき扉から現れたのは、遅刻ギリギリで飛びこんできた伊織。
彼は室内の空気もお構いなしに、通り道のダチに声を掛けつつ自分の席――凍夜の右隣へとやってきた。
伊織は自分の机に荷物を投げると、凍夜の傍へ椅子を寄せた。
「やぁっと来たのか。ゆかりッチも病院教えてくれねーしマジ心配しちったぜぇ。で? もう腹はヘーキなん?」
「……腹?」
(あ……っのバカッ)
朝から無駄にテンション高い伊織に、怪訝な顔を向ける凍夜。
ゆかりは先の展開に色を無くし、慌てて前へ向き直った。
本当なら逃げ出してしまいたい。何故なら、詳しい説明を求められるのは彼女に決まっているのだから。
しかし……学校まで来ておきながら遅刻や欠席を付けられるのは、彼女の理性が許さない。
いっそ天変地異でも起きないかと祈る彼女の背後で、伊織は笑いを含んだ声音で先を続けた。
「ごまかそうったってそーはいかねーからな。部屋の冷蔵庫に残ってた、前の住人の置きみやげ食って腹コワしたんだって?」
「……」
「バッカだなー、卒業から始業までかなり開いてんじゃん。んなもん食ったら食中毒くらい起こすっての」
「…………ふぅん」
背中に刺さる氷の槍が、痛いどころか心臓に突き刺さってグリグリ抉る。
空気を読まない伊織の話が未だとうとうと続いていたが、凍夜の視線はゆかりの背中を捕らえて離さない。
「わ……私じゃないからね、ソレ言ったの。桐条先輩だから。だ、だからっ」
「ふぅん」
抜けない。
槍が。
「だ、から…………」
「ふぅん」
(こ、コワイ~~~~っ)
伊織の雑音も無視し同じ相づちだけを繰り返す彼は、まるで永遠に溶けない氷のよう。
名前の如く。
「……先に言わなくてゴメンナサイ」
「ま、過ぎた事だけどね」
……抜けた。
凍夜の視線が外れた瞬間、ゆかりはぐったりと机の上に倒れ伏した。
(桐条、許すまじ……)
あっさりと機嫌を直したらしい凍夜と伊織の声を聴きながら、ゆかりは“桐条”への想いを更に深めた。
黒いオーラに包まれるゆかりの後ろで伊織の雑談は続いている。
「そういや知ってっか? ボクシング部の真田先輩、ロードワーク中にバナナの皮で滑って肋骨折ったんだってさ」
PR
かうんたー
凍夜君
ぺっと。
クリックすると喋りますよ?
<背景画像>
ブルー・クレセンティア様
好物