突発やプレイ日記を書き逃げする雑記帳。
未完結品多し。
ネタバレ満載警報発令中~。
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「次に第二師団からの中間報告ですが……」
上官の背中に向かって報告書を読み上げながら、シンクは内心自分は今何やってるんだろうと考えていた。
ダアト裏手の森を抜けた所に位置する小さな空き地。
雲一つ無い真夏の青空。
火山を有し、海水浴地としても名高いパダミヤ大陸の、焼け付くような炎天下の中で。
書面片手に定期報告。
軍事演習や訓練というのなら理解もするが……報告業務を行う場所では有り得ないだろう。
普通は。
「――は依然変化無し。……以上です」
書面から顔を上げれば、仮面越しにも嫌気が差すようなぎらつく陽光の中心で、上司――ヴァン・グランツ謡将閣下はシンクに背中を向けたまま黙々と作業を続けていた。
「ねえ、ヴァン」
報告書を仕舞い、上司の広い背中を見上げやる。
「そういうの、興味ないから正直どうでもいいんだけど」
務めて平静を装いながらも、声音に不満が滲み出るのはどうにもならない。
この日差しの中に黒服で立っていれば、不機嫌にならない方がどうかしている。
しかも――
「向日葵は、花束に向かないんじゃないの?」
この言葉に振り向いた上司の腕に、満開の向日葵が数本抱かれていたりした日には呆れればいいのか、それとも嘆くべきなのか。
「確かにお前の言うとおり、夏花には他に愛らしい花は数あろう。しかし、やはり夏ならではの向日葵も一度は見せてやりたいのだよ」
そう言って微笑む上司の表情は、この夏の日差しの如く。
「明日、リグレットがユリアシティーに降りる予定なのでな。他に何を持たせるべきか……」
教団幹部にして騎士団内において絶大なカリスマを誇る主席総長、ヴァン・グランツ。
光の差さないユリアシティーに暮らす愛妹の為にせっせと花を育てる男。
「ボクさ、時々アンタが分からなくなるよ」
「ふむ……。お前も兄弟の一人も居れば分かるだろうが。ティアの弟にでもなってみるか?」
「……遠慮しとく」
まだ花摘みを続けるという上司を残し一人来た道を戻りながら、あの男に見出された自分の価値って何だろうと考えていた。
まあ、少なくとも最愛の妹やお気に入りの赤毛よりは下なのだろうけど……手製の花畑より下だったら正直嫌だ。
「兄弟……ねぇ」
一瞬過ぎった翠の残像を頭を振って追い出し、来た道を振り向いて。
「あんなになるような存在なら、必要ないね」
先刻の花畑へと生暖かい視線を向けると、シンクは足早に大聖堂へと戻っていった。
上官の背中に向かって報告書を読み上げながら、シンクは内心自分は今何やってるんだろうと考えていた。
ダアト裏手の森を抜けた所に位置する小さな空き地。
雲一つ無い真夏の青空。
火山を有し、海水浴地としても名高いパダミヤ大陸の、焼け付くような炎天下の中で。
書面片手に定期報告。
軍事演習や訓練というのなら理解もするが……報告業務を行う場所では有り得ないだろう。
普通は。
「――は依然変化無し。……以上です」
書面から顔を上げれば、仮面越しにも嫌気が差すようなぎらつく陽光の中心で、上司――ヴァン・グランツ謡将閣下はシンクに背中を向けたまま黙々と作業を続けていた。
「ねえ、ヴァン」
報告書を仕舞い、上司の広い背中を見上げやる。
「そういうの、興味ないから正直どうでもいいんだけど」
務めて平静を装いながらも、声音に不満が滲み出るのはどうにもならない。
この日差しの中に黒服で立っていれば、不機嫌にならない方がどうかしている。
しかも――
「向日葵は、花束に向かないんじゃないの?」
この言葉に振り向いた上司の腕に、満開の向日葵が数本抱かれていたりした日には呆れればいいのか、それとも嘆くべきなのか。
「確かにお前の言うとおり、夏花には他に愛らしい花は数あろう。しかし、やはり夏ならではの向日葵も一度は見せてやりたいのだよ」
そう言って微笑む上司の表情は、この夏の日差しの如く。
「明日、リグレットがユリアシティーに降りる予定なのでな。他に何を持たせるべきか……」
教団幹部にして騎士団内において絶大なカリスマを誇る主席総長、ヴァン・グランツ。
光の差さないユリアシティーに暮らす愛妹の為にせっせと花を育てる男。
「ボクさ、時々アンタが分からなくなるよ」
「ふむ……。お前も兄弟の一人も居れば分かるだろうが。ティアの弟にでもなってみるか?」
「……遠慮しとく」
まだ花摘みを続けるという上司を残し一人来た道を戻りながら、あの男に見出された自分の価値って何だろうと考えていた。
まあ、少なくとも最愛の妹やお気に入りの赤毛よりは下なのだろうけど……手製の花畑より下だったら正直嫌だ。
「兄弟……ねぇ」
一瞬過ぎった翠の残像を頭を振って追い出し、来た道を振り向いて。
「あんなになるような存在なら、必要ないね」
先刻の花畑へと生暖かい視線を向けると、シンクは足早に大聖堂へと戻っていった。
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