突発やプレイ日記を書き逃げする雑記帳。
未完結品多し。
ネタバレ満載警報発令中~。
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天使化症候群(仮)
(オリジ。近未来モノ。アナザーっぽい。ダイジェスト風味)
純白の羽。
「あのね、ママ。きのうね――」
漆黒の夢の中、細い細い一筋の光。
「きれいな白いハネがね、きらきらしてたの」
綺麗な、純白の羽が降り注ぐ……夢。
「ママぁ、背中がいたいの」
一定年齢以下の子供にのみ、純白の翼が生える奇病。
共通点は、夢。
背中が痛いと訴え始めると同時期に肩胛骨に異常がみられた子供達は、皆一様に口を揃えてこう言った。
――綺麗な白い羽が降り注ぐ夢を見た、と。
最初の子に兆候が出た時には、マスコミがこぞって騒ぎ立てた。
高名な医者や学者がブラウン管の向こうで推論を述べる中、同じ症状を訴える子供が加速度的に増えてゆき。
最初の子供が真白い翼を広げた折には、世界中が歓声に湧いた。
ついに現世に天使が光臨したのだと。
人間は、ついに次なる進化を遂げたのだと。
しかし。
程なくもたらされた速報に、歓声は悲鳴へと変わる。
うっとりと。
「ママ。愛してるわ、ママ」
それは幸せそうな表情を浮かべ。
「だから……主をお救いするために、死んでね? ママ」
病室の果物ナイフを握りしめた少女は。
状況が飲み込めぬまま呆然と佇む実母の胸を、躊躇いなく差し貫いた。
子供達に翼が生える。
少年少女達は皆一様に、“身近な人間”を手に掛けて何処かへ飛び去ってゆく。
主の為に、と。
繰り返される惨劇を、人は【天使化症候群】と呼んだ。
「親殺し。子殺し。神様の為だろうが、自己防衛だろうが……人が人を殺していい理由にはならないでしょう? 馬鹿げてる、こんな世界」
虐待された子供や捨て子を養いながら、奇病の研究を続ける女医。
――お兄ちゃんも、もうすぐ夢を見るわ。きっとすぐよ。
「先生。僕も、妹と同じようになるのかな」
妹の凶行を目の当たりにした少年。
――わたしと“同じ”になったら分かるわ。わたしが、どうしてパパとママを殺したか。
「あんな、気持ち。分かりたくなんか、ない。なのに……」
血の海に沈む両親。
父の拳銃を持ち返り血を浴びて、幸せそうに声を上げて笑う、妹。
「夢を……見たんだ」
胸に握りしめた拳を押し当て、絞り出すように彼は。
「真っ白な羽が雪みたいに降る夢……見たんだ」
泣き笑いの表情を浮かべ、自分を匿ってくれた女医を見上げた。
「私はみんなを殺すつもりは無いし、殺されても文句は言わない。拾った人間の責任だからね。でも、交換条件って言ったら聞こえが悪いけど……聞かせて欲しいんだ。翼を持つ子供しか知らないことを」
世界中が恐慌に包まれている。
女医の手元に置かれた子供達が次々と発症する中、外の世界も刻々と状況を変えてゆく。
“天使”達による発電所や軍事施設への襲撃。
一般人による子供狩り。
各国による“天使”狩り。
各所で続けられている奇病の調査。
「先生。妹の言ってたこと、今は何となく分かるんだ」
産毛の生えかけた翼を震わせ、呟く少年。
「どうしてだろう……。どうして、人間が主の存在に気付かないかの方が、不思議なんだ」
洗脳される、と言うよりも“書き換わる”という表現の方がしっくり来ると女医は結論づけた。
夢を見て以降、日を追う事に変化していく思考回路。
彼らの思考は最終的にただ一つに絞られる。
“主をお救いする為に、主を汚す人間は滅びなければならない”、と。
「先生、お外で変なおじさんが怒鳴ってるよ? 大人しく出てこないと全部燃やすって」
「研究内容ごと燃やすってのは口から出任せだろうけど、子供に温情くれるつもりは無いんだろうね」
彼女は、天使達に囲まれて静かに笑った。
「皆は逃げればいいけど。どうするの? 私を殺すの?」
「…………」
「先生も、僕らと“同じ”になれたら良かったのに」
女医自らが牽制に起こした炎に煽られ、天使達が舞い上がる。
突入を開始したらしい外の怒声を聞きながら。
「ああ……まるで夢みたいだ」
舞い散る天使達の羽を見上げ、彼女は小さく呟いた。
「ふん。【天使化症候群】だか何だか知らんが、どうせおつむはお子様だ。少しばかり空が飛べようが、神の奇跡とやらが使えるわけではない。どれほど数を揃えて足掻こうが無駄なのだよ。未来に輝くのは、我々人間の勝利なのだ」
「いいえ。人間に未来は有りません」
熱弁を振るう軍人に対し、女医は酷く静かな声で。
「他の研究者にも問い合わせたデータですし、既にご存じだと思いますが。現在、十二歳以下の【天使化症候群】発症率は100%に達しています」
誰もが口にしなかった結論を。
「即ち、次世代の人間が育つ確率は0%。……百年後には絶滅するでしょうね。寿命で」
淡々と、告げた。
「彼ら自身が言っていました。わざわざ人間を殺す必要は無いんだと。ただ、大事な人がこれ以上罪を犯すのを見過ごせないから、自分達が手を下すのだと。大規模施設を襲うのは自然汚染の拡大阻止。彼らは、“人間”というウイルスに対するワクチンなんです」
――ねえ、主ってさ。“天にまします我らが神”ってヤツ?
『違うよ。空になんかいないよ』
『そうよ、いつも一緒にいらっしゃるでしょう?』
『人間はコンクリとかで固めて見えなくしちゃうくらい、あの方のこと嫌いみたいだけどね』
「彼らの言う“主”は大地。この惑星の事です。逆らってみますか? 母なる大地に。勝利した暁には、生きる場所自体が無くなりそうですけど」
純白の羽が降り注ぐ。
汚れきった大地を清める如くに。
子供達の笑い声が降り注ぐ。
既に“人間”では無くなった、子供達の笑い声が。
存在自体が人間を絶滅させる、天使達の嗤い声が。
まるで夢のように……降り注ぐ。
何故か近未来とか世界滅亡後なプロット多いのです。
プチでもメガテニストの風下の端っこに居させて貰って居る者の性でしょうか;
この話、実はもう少し先があって、心持ち上向きなラストにもなるんですが、オリジは別件で持ち込む可能性が有るので割愛。
正式に何かする際にはきちんと書きますがね? ええ。
こんな予告編みたいなハンパ物でなくて。
(オリジ。近未来モノ。アナザーっぽい。ダイジェスト風味)
純白の羽。
「あのね、ママ。きのうね――」
漆黒の夢の中、細い細い一筋の光。
「きれいな白いハネがね、きらきらしてたの」
綺麗な、純白の羽が降り注ぐ……夢。
「ママぁ、背中がいたいの」
一定年齢以下の子供にのみ、純白の翼が生える奇病。
共通点は、夢。
背中が痛いと訴え始めると同時期に肩胛骨に異常がみられた子供達は、皆一様に口を揃えてこう言った。
――綺麗な白い羽が降り注ぐ夢を見た、と。
最初の子に兆候が出た時には、マスコミがこぞって騒ぎ立てた。
高名な医者や学者がブラウン管の向こうで推論を述べる中、同じ症状を訴える子供が加速度的に増えてゆき。
最初の子供が真白い翼を広げた折には、世界中が歓声に湧いた。
ついに現世に天使が光臨したのだと。
人間は、ついに次なる進化を遂げたのだと。
しかし。
程なくもたらされた速報に、歓声は悲鳴へと変わる。
うっとりと。
「ママ。愛してるわ、ママ」
それは幸せそうな表情を浮かべ。
「だから……主をお救いするために、死んでね? ママ」
病室の果物ナイフを握りしめた少女は。
状況が飲み込めぬまま呆然と佇む実母の胸を、躊躇いなく差し貫いた。
子供達に翼が生える。
少年少女達は皆一様に、“身近な人間”を手に掛けて何処かへ飛び去ってゆく。
主の為に、と。
繰り返される惨劇を、人は【天使化症候群】と呼んだ。
「親殺し。子殺し。神様の為だろうが、自己防衛だろうが……人が人を殺していい理由にはならないでしょう? 馬鹿げてる、こんな世界」
虐待された子供や捨て子を養いながら、奇病の研究を続ける女医。
――お兄ちゃんも、もうすぐ夢を見るわ。きっとすぐよ。
「先生。僕も、妹と同じようになるのかな」
妹の凶行を目の当たりにした少年。
――わたしと“同じ”になったら分かるわ。わたしが、どうしてパパとママを殺したか。
「あんな、気持ち。分かりたくなんか、ない。なのに……」
血の海に沈む両親。
父の拳銃を持ち返り血を浴びて、幸せそうに声を上げて笑う、妹。
「夢を……見たんだ」
胸に握りしめた拳を押し当て、絞り出すように彼は。
「真っ白な羽が雪みたいに降る夢……見たんだ」
泣き笑いの表情を浮かべ、自分を匿ってくれた女医を見上げた。
「私はみんなを殺すつもりは無いし、殺されても文句は言わない。拾った人間の責任だからね。でも、交換条件って言ったら聞こえが悪いけど……聞かせて欲しいんだ。翼を持つ子供しか知らないことを」
世界中が恐慌に包まれている。
女医の手元に置かれた子供達が次々と発症する中、外の世界も刻々と状況を変えてゆく。
“天使”達による発電所や軍事施設への襲撃。
一般人による子供狩り。
各国による“天使”狩り。
各所で続けられている奇病の調査。
「先生。妹の言ってたこと、今は何となく分かるんだ」
産毛の生えかけた翼を震わせ、呟く少年。
「どうしてだろう……。どうして、人間が主の存在に気付かないかの方が、不思議なんだ」
洗脳される、と言うよりも“書き換わる”という表現の方がしっくり来ると女医は結論づけた。
夢を見て以降、日を追う事に変化していく思考回路。
彼らの思考は最終的にただ一つに絞られる。
“主をお救いする為に、主を汚す人間は滅びなければならない”、と。
「先生、お外で変なおじさんが怒鳴ってるよ? 大人しく出てこないと全部燃やすって」
「研究内容ごと燃やすってのは口から出任せだろうけど、子供に温情くれるつもりは無いんだろうね」
彼女は、天使達に囲まれて静かに笑った。
「皆は逃げればいいけど。どうするの? 私を殺すの?」
「…………」
「先生も、僕らと“同じ”になれたら良かったのに」
女医自らが牽制に起こした炎に煽られ、天使達が舞い上がる。
突入を開始したらしい外の怒声を聞きながら。
「ああ……まるで夢みたいだ」
舞い散る天使達の羽を見上げ、彼女は小さく呟いた。
「ふん。【天使化症候群】だか何だか知らんが、どうせおつむはお子様だ。少しばかり空が飛べようが、神の奇跡とやらが使えるわけではない。どれほど数を揃えて足掻こうが無駄なのだよ。未来に輝くのは、我々人間の勝利なのだ」
「いいえ。人間に未来は有りません」
熱弁を振るう軍人に対し、女医は酷く静かな声で。
「他の研究者にも問い合わせたデータですし、既にご存じだと思いますが。現在、十二歳以下の【天使化症候群】発症率は100%に達しています」
誰もが口にしなかった結論を。
「即ち、次世代の人間が育つ確率は0%。……百年後には絶滅するでしょうね。寿命で」
淡々と、告げた。
「彼ら自身が言っていました。わざわざ人間を殺す必要は無いんだと。ただ、大事な人がこれ以上罪を犯すのを見過ごせないから、自分達が手を下すのだと。大規模施設を襲うのは自然汚染の拡大阻止。彼らは、“人間”というウイルスに対するワクチンなんです」
――ねえ、主ってさ。“天にまします我らが神”ってヤツ?
『違うよ。空になんかいないよ』
『そうよ、いつも一緒にいらっしゃるでしょう?』
『人間はコンクリとかで固めて見えなくしちゃうくらい、あの方のこと嫌いみたいだけどね』
「彼らの言う“主”は大地。この惑星の事です。逆らってみますか? 母なる大地に。勝利した暁には、生きる場所自体が無くなりそうですけど」
純白の羽が降り注ぐ。
汚れきった大地を清める如くに。
子供達の笑い声が降り注ぐ。
既に“人間”では無くなった、子供達の笑い声が。
存在自体が人間を絶滅させる、天使達の嗤い声が。
まるで夢のように……降り注ぐ。
何故か近未来とか世界滅亡後なプロット多いのです。
プチでもメガテニストの風下の端っこに居させて貰って居る者の性でしょうか;
この話、実はもう少し先があって、心持ち上向きなラストにもなるんですが、オリジは別件で持ち込む可能性が有るので割愛。
正式に何かする際にはきちんと書きますがね? ええ。
こんな予告編みたいなハンパ物でなくて。
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