突発やプレイ日記を書き逃げする雑記帳。
未完結品多し。
ネタバレ満載警報発令中~。
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大晦日ネタ。
ネタバレという響きが可愛らしく思えるほどに、ネタバレ危険度激高。
ゲーム進行が大晦日まで来ていない方は、今すぐ回れ右。
某マフラーの彼と主人公。
激シリアス。
「君には見せたくなかったけど……仕方無い」
彼は微かに揺れる瞳を伏せて呟くと、窓から零れ落ちる満月の光の下、悲しげに微笑んだ。
前触れもなくゆらりと空間が歪んだ刹那、綾時が立っていた空間に現れたのは……“死神”。
拒絶するように吹き上げ渦巻くオーラに気圧され、凍夜は無意識のうちに一歩退いた。
前髪の合間から覗く瞳に映るのは、鋭利な造形の仮面を着けた黒衣の異形。
見覚えがあった。
心が凍るような真円の月を背負い、自分の姿を見下ろしていた――
意識と無意識の境界を突き破り、“彼”と自分の“力”とを解き放った、あの日に。
月灯りに浮かぶ橋の上で、遠い昔に。
そして……今、この時も。
窓から差し込む月灯りを無表情な仮面の頬に受け、凍夜を見下ろす虚空の瞳。
綾時という存在を脱ぎ捨てた異形はしかし、彼の癖をなぞるように胸元に手を置いて、低く押し殺した声を上げた。
「御覧よ……僕は人間じゃない」
一片の感情も籠もらぬ冷たい声は、不思議と涙に濡れる“彼”の瞳を思い起こさせた……。
「……これは、君にしか出来ない選択だよ」
黒衣の死神が説得の言葉を吐き続ける間中、凍夜は沈黙を保っていた。
月灯りと天井の灯りとを受けて複雑な陰影を刻みつけた怜悧な仮面が、彼の瞳の中で懇願の色彩を滲ませている。
「いいかい……本当に、これが最後だ」
縋るような視線が彼を捕らえる。
仮面の奥に潜む双眸が、湖面のように静まり返った瞳に映る自身の姿を見下ろしている。
感情を隠す仮面の下で密やかに嘆く彼の声は、もはや凍夜の耳には届かない。
彼らは既に分かたれてしまったのだから。
温かな闇の底で“現実”という名の優しい夢を観続けていた死神は、“個”を得て、月が生み出す暗い影に立ち止まった。
世界の終わりを告げる為に。
これ以上思い出を壊す前に。
世界の終わりを、この目で見届けずに済むように。
僕が、君に願うのは……。
「もう一度、君の答えを聞こう……」
氷のようだと思った。
凍り付いた湖面のように揺らぎ一つ窺えない瞳は、月灯りに浮かぶ黒衣の宣告者をただ……映していた。
視線を逸らさず顔色一つ変えぬ彼が、ジャケットの下に隠していたガンベルトに手を伸ばした時、“彼”は心の中で歓喜した。
「そうか……分かってくれたんだね」
躊躇無く召喚器を引き抜く凍夜の瞳の中で再び揺らいだ空間は、穏やかな笑みを浮かべた綾時へと変化する。
――さあ、僕を殺して……。
十年を共に過ごした死神が笑う。
――世界の終わりに怯える恐怖から逃れる為に……。
それはそれは穏やかに、幸せそうに……笑う。
――君の手で、僕を殺して……。
こめかみに銃口を向けトリガーを引き絞る凍夜の姿を映す瞳から、一筋の涙が伝い落ちた。
「今まで、本当にありがとう……」
静寂を砕く破砕音。
まるで世界を砕くオト。
横殴りの衝撃に、バサリと揺れる前髪。
前髪を乱し俯いた彼の表情は、綾時の位置からでは窺えない。
最後の最後に彼の瞳を見られなかったのは残念だったな、などと思いながら現出したペルソナを見上げた瞬間。
綾時は驚愕の色彩を浮かべて凍り付いた。
「その、ペルソナは……」
先刻まで凍夜を見下ろしていた黒衣の異形――綾時の真の姿と瓜二つの……【死神】タナトス。
「我は汝……汝は我……、だろ?」
芝居がかった口ぶりに綾時が慌てて視線を下ろすと、長い前髪の合間から上目遣いに見上げる瞳と目が合った。
タナトスは何も行動を起こすことなく、文字通り幻のように掻き消えた。
「誰でも、生まれた瞬間から“運命”という名のレールの上を走ってるんだ。皆も、僕も」
乱れた前髪をかき上げ、召喚器を仕舞いながら、凍夜は世間話でもするような口調で告げる。
「僕と共に居た……君も、ね」
揺らぎもしない、凍れる湖面。
そこに映るのは、戸惑いを浮かべた一人の少年。
死神でも、宣告者でもなく……ただの少年。
凍夜は綾時を真っ直ぐに見据え、口角を微かに持ち上げた。
「途中下車は、許さないよ?」
息を呑んだ。
見開かれた瞳は、段々と意味を理解するにつれて虚ろな笑みへと移行する。
彼の真意を理解した時、綾時は弱々しく頭を振り額を抑えた。
「ああ……そうだ。皆の為なんて、ただの偽善。言い訳だ」
自分への叱責か、秘やかな懺悔か。
その小さな呟きを、凍夜は無言で聴いていた。
綾時は額に拳を押し付けて俯き、揺れる瞳をそっと伏せた。
「本当は……君が死ぬ瞬間を見たくなかったんだ」
呟き、自分自身の喉元へ手を伸ばす。
「君より先に、君の手で」
喉へ手を掛け、顔を上げる。
彼は、泣き笑いのような笑顔を凍夜へ向けた。
「それはきっと、僕にとって最高に幸せな事だから」
列車を降りて旅を放棄してしまえば、絶望を知らずに済む。
思い出に浸っていられる。
だが、そんな一方的な願いでは駄目なのだ。
自分の心を優先して、自分は彼の事など何も考えていなかった。
信じよう。
彼が願う結末を。
絆は、繋がっているのだから……。
「また、会おう」
喉から手を離した“かけがえのない親友”へ向けて、浸みるような笑みを浮かべる。
大丈夫。
絆は、繋がっているのだから……。
「約束の場所で」
綾時は眩しいものを見つめるように目を細め、口元に柔らかな笑みを湛えて胸元に手を置いた。
綾時の瞳の中で、ちょっとそこまで散歩にでも行くかのようにポケットに手を突っ込んで。
凍夜は、しっかりと頷いた。
「約束、しよう……」
そして、審判が始まる――
ネタバレという響きが可愛らしく思えるほどに、ネタバレ危険度激高。
ゲーム進行が大晦日まで来ていない方は、今すぐ回れ右。
某マフラーの彼と主人公。
激シリアス。
「君には見せたくなかったけど……仕方無い」
彼は微かに揺れる瞳を伏せて呟くと、窓から零れ落ちる満月の光の下、悲しげに微笑んだ。
前触れもなくゆらりと空間が歪んだ刹那、綾時が立っていた空間に現れたのは……“死神”。
拒絶するように吹き上げ渦巻くオーラに気圧され、凍夜は無意識のうちに一歩退いた。
前髪の合間から覗く瞳に映るのは、鋭利な造形の仮面を着けた黒衣の異形。
見覚えがあった。
心が凍るような真円の月を背負い、自分の姿を見下ろしていた――
意識と無意識の境界を突き破り、“彼”と自分の“力”とを解き放った、あの日に。
月灯りに浮かぶ橋の上で、遠い昔に。
そして……今、この時も。
窓から差し込む月灯りを無表情な仮面の頬に受け、凍夜を見下ろす虚空の瞳。
綾時という存在を脱ぎ捨てた異形はしかし、彼の癖をなぞるように胸元に手を置いて、低く押し殺した声を上げた。
「御覧よ……僕は人間じゃない」
一片の感情も籠もらぬ冷たい声は、不思議と涙に濡れる“彼”の瞳を思い起こさせた……。
「……これは、君にしか出来ない選択だよ」
黒衣の死神が説得の言葉を吐き続ける間中、凍夜は沈黙を保っていた。
月灯りと天井の灯りとを受けて複雑な陰影を刻みつけた怜悧な仮面が、彼の瞳の中で懇願の色彩を滲ませている。
「いいかい……本当に、これが最後だ」
縋るような視線が彼を捕らえる。
仮面の奥に潜む双眸が、湖面のように静まり返った瞳に映る自身の姿を見下ろしている。
感情を隠す仮面の下で密やかに嘆く彼の声は、もはや凍夜の耳には届かない。
彼らは既に分かたれてしまったのだから。
温かな闇の底で“現実”という名の優しい夢を観続けていた死神は、“個”を得て、月が生み出す暗い影に立ち止まった。
世界の終わりを告げる為に。
これ以上思い出を壊す前に。
世界の終わりを、この目で見届けずに済むように。
僕が、君に願うのは……。
「もう一度、君の答えを聞こう……」
氷のようだと思った。
凍り付いた湖面のように揺らぎ一つ窺えない瞳は、月灯りに浮かぶ黒衣の宣告者をただ……映していた。
視線を逸らさず顔色一つ変えぬ彼が、ジャケットの下に隠していたガンベルトに手を伸ばした時、“彼”は心の中で歓喜した。
「そうか……分かってくれたんだね」
躊躇無く召喚器を引き抜く凍夜の瞳の中で再び揺らいだ空間は、穏やかな笑みを浮かべた綾時へと変化する。
――さあ、僕を殺して……。
十年を共に過ごした死神が笑う。
――世界の終わりに怯える恐怖から逃れる為に……。
それはそれは穏やかに、幸せそうに……笑う。
――君の手で、僕を殺して……。
こめかみに銃口を向けトリガーを引き絞る凍夜の姿を映す瞳から、一筋の涙が伝い落ちた。
「今まで、本当にありがとう……」
静寂を砕く破砕音。
まるで世界を砕くオト。
横殴りの衝撃に、バサリと揺れる前髪。
前髪を乱し俯いた彼の表情は、綾時の位置からでは窺えない。
最後の最後に彼の瞳を見られなかったのは残念だったな、などと思いながら現出したペルソナを見上げた瞬間。
綾時は驚愕の色彩を浮かべて凍り付いた。
「その、ペルソナは……」
先刻まで凍夜を見下ろしていた黒衣の異形――綾時の真の姿と瓜二つの……【死神】タナトス。
「我は汝……汝は我……、だろ?」
芝居がかった口ぶりに綾時が慌てて視線を下ろすと、長い前髪の合間から上目遣いに見上げる瞳と目が合った。
タナトスは何も行動を起こすことなく、文字通り幻のように掻き消えた。
「誰でも、生まれた瞬間から“運命”という名のレールの上を走ってるんだ。皆も、僕も」
乱れた前髪をかき上げ、召喚器を仕舞いながら、凍夜は世間話でもするような口調で告げる。
「僕と共に居た……君も、ね」
揺らぎもしない、凍れる湖面。
そこに映るのは、戸惑いを浮かべた一人の少年。
死神でも、宣告者でもなく……ただの少年。
凍夜は綾時を真っ直ぐに見据え、口角を微かに持ち上げた。
「途中下車は、許さないよ?」
息を呑んだ。
見開かれた瞳は、段々と意味を理解するにつれて虚ろな笑みへと移行する。
彼の真意を理解した時、綾時は弱々しく頭を振り額を抑えた。
「ああ……そうだ。皆の為なんて、ただの偽善。言い訳だ」
自分への叱責か、秘やかな懺悔か。
その小さな呟きを、凍夜は無言で聴いていた。
綾時は額に拳を押し付けて俯き、揺れる瞳をそっと伏せた。
「本当は……君が死ぬ瞬間を見たくなかったんだ」
呟き、自分自身の喉元へ手を伸ばす。
「君より先に、君の手で」
喉へ手を掛け、顔を上げる。
彼は、泣き笑いのような笑顔を凍夜へ向けた。
「それはきっと、僕にとって最高に幸せな事だから」
列車を降りて旅を放棄してしまえば、絶望を知らずに済む。
思い出に浸っていられる。
だが、そんな一方的な願いでは駄目なのだ。
自分の心を優先して、自分は彼の事など何も考えていなかった。
信じよう。
彼が願う結末を。
絆は、繋がっているのだから……。
「また、会おう」
喉から手を離した“かけがえのない親友”へ向けて、浸みるような笑みを浮かべる。
大丈夫。
絆は、繋がっているのだから……。
「約束の場所で」
綾時は眩しいものを見つめるように目を細め、口元に柔らかな笑みを湛えて胸元に手を置いた。
綾時の瞳の中で、ちょっとそこまで散歩にでも行くかのようにポケットに手を突っ込んで。
凍夜は、しっかりと頷いた。
「約束、しよう……」
そして、審判が始まる――
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